【研究論文】マスクをすると感染率が上がる?


毎週、水曜日に出演させていただいている文化放送「SAKIDORI」。

 

 

2020年2月5日にお話した内容から一部を抜粋して、ご紹介しています。


 

 

 

私は、日本人の多くの方が新型コロナウイルスの対策について、誤解をしていると思いますね。

 

それを象徴しているのが、今、マスクがドラッグストアで売り切れてしまっている現象なんですよ。

 

 

マスクをしたら、それだけで、大きな効果はなくても、そこそこの程度くらいだったら、予防の効果があると思っている人が大半でしょうね。

 

でも、医学的には、これを完全に否定する実験結果が出ているんですよ。

 

逆に、マスクをすることで、感染率が上がるというデータも出ているんです。

 

 

WHOも厚生労働省も、予防の2本柱は、手洗いと咳エチケットだとしていますよね。

咳エチケットって、そんなに一般的な言葉じゃないですよね。

でも、「マスクをしましょう」と言うと、医学的には誤解を招くから、わざわざ、咳エチケットという言葉を使っているんです。

 


感染した人がマスクをすると、周囲の人にうつさない効果が絶大だということは、医学的に断定されています。


だから、咳やくしゃみが出る人は、必ず着用していただきたい。

 


でも、健康な人がマスクをしても、それだけでは、他人から感染を防ぐ効果はほとんどない。


このことを示す代表的な論文が、フランス共同健康研究機構のレティシア・カニーニ博士らが行った研究なんです。

 


インフルエンザについて分析したんですが、マスクをしても感染率はほとんど変わらない。


それどころか、マスクをしたら、感染率がわずかに増える傾向だったんです。

 

 

感染率の上昇については、統計的有意差はないので、マスクをしたら、そのことで感染率が上がると決めつけることはできませんが、少なくとも感染率が下がるということはないと言えるんです。

 


どうしてかというと、その理由をうかがい知ることができる、マスクをしたときの行動を分析した研究もあるんです。


マスクがズレたときに、フィルターの外側を無意識に触ってしまう。


あるいはマスクを外す時に、フィルターの外側を触ってしまって、それによって手から感染してしまう。


また、マスクをしているから大丈夫だと、手洗いがおろそかになる人も多いんです。

 


実際、手洗いをしっかりした上でマスクを着用すると、やっぱり、手洗いだけより、さらに感染率を抑えられるというデータが出ているんです。


感染症対策では、CDC(アメリカ疾病対策センター)が、世界の最高水準だと評価されていますが、

 

CDCはマスクについて、妊婦さん、あるいは他の病気を持っている人に限って奨励するというガイドラインを設けているんです。

 


こういう方は、感染への危機意識が高いので、手洗いもしっかりしている方が多いですよね。


だから、マスク着用がプラスに作用する可能性が高いと推定されるからで、これは合理的な判断だと思いますね。

 

インフルエンザも風邪も、そして新型コロナウイルスも、とにかく徹底した手洗いが基本です。

 

不特定多数の人が触れる、ドアノブやエレベーターのスイッチなどを触れたら、できるだけ手洗いを行いたいですね。

 

 

さらに、最低でも20秒、できれば30秒以上、丁寧に洗うこと。

 

マスクに頼りきってはいけませんよ。