PCR検査は無力?


 一言でいうと… 

✔ 新型コロナウイルスに対するPCR検査に関して、多くの方が2つの誤解をしているようです

 

✔ 新型コロナウイルスだとわかっても、確立された治療法がないので、早く治す手段はありません。

 

 インフルエンザの新薬「アビガン」が注目されていますが、倫理委員会が認めないと投与できない制度になっていて、現段階で軽症者に投与を認めることはありえません。

 

✔ PCR検査を行う主な目的は、感染の広がりを国や社会が把握し、他人に移させないようにコントロールすることんです。

 

✔ SARSの場合、PCR検査の感度は30%から50%というデータや70%という研究結果が発表されています。

 

✔ PCR検査は決して万能ではなく、陰性という結果が出たから、ライブに行こう、屋形船に乗ろうというのは困るわけです。

 

 

東京大学本郷キャンパス赤門正面 本郷赤門前クリニック


 

東京FM「Blue Ocean」という番組で、

2020年2月29日にお話した内容から一部を抜粋して、ご紹介しています。

 


 

「東京都がPCR検査の対応を拡充する方針を発表した」というニュースがありましたが、PCR検査に対して、多くの方が、2つの誤解をしていると思うんですね。

 

 

まず、これって、現状、自分自身の治療には、ほとんど役立たないものなんです。

 

 

はじめに、現在の体制をご紹介しますと、まず医者が検査は必要かを判断し、保健所に連絡するんです。

 

でも、電話はつながらない、つながっても、検査を断られる・・・。

 

 

それで、心配になるという方が多いんですね。

 

ごくごく一部ですが、重度の肺炎を起こしている入院患者で検査を受けられない人がいて、これは、本当にひどい話ですよ。

 

 

でも、私のクリニックにも問い合わせがあるが、ほとんどは軽症の患者さんです。

 

この場合は、検査をしても、ご本人にとってのメリットはほどんどないですね。

 

 

仮に、新型コロナウイルスだとわかっても、そもそも、確立された治療法がないので、早く治す手段はありません。

 

インフルエンザの新薬「アビガン」が注目されていますが、倫理委員会が認めないと投与できない制度になっていて、軽症者に投与を認めるなんて、今の段階ではありえないことです。

 

PCR検査が、陽性であっても陰性であっても、治療は同じ。

 

全身状態を良くして、呼吸を助けるという対処療法しかないんです。

 

 

でも、PCR検査そのものが、意味がないって言っているんじゃないですよ。

 

PCR検査を行う主な目的は、感染の広がりを国や社会が把握して、他人に移させないようにコントロールすることなんです。

 

自分自身のためというより、みんなのために受けるというのが、この検査の本質なんですね。

 

 

だから、検査すべき人が大勢いるのに検査できないというのは、政府としては大失態です。

 

でも、患者さん本人が、すぐに不利益を被ることはありません。

 

だから、検査が出来ないからといって、不安にならないでいただきたいですね。

 

 

こういうことを患者さんにお伝えすると、それでも、検査で陰性だとわかれば安心できるから、やっぱり受けたいというんです。

 

これも、みなさん、誤解があると思いますね。

 

 

PCR検査は、私も研究で使用していた経験がありますが、感度は決して高くないんです。

 

新型コロナウイルスは、まだ、はっきりとしたデータは出ていませんが、SARSの場合、感度は30%から50%というデータや70%という研究結果が発表されています。

 

新型コロナウイルスについても、専門家の間では、ごく軽症の場合には、感度は50%程度ではないかと指摘されています。

 

つまり100人の感染者を検査したら、50人は陰性と判定されてしまうわけです。

 

 

だから、軽症の場合は、検査で陰性だと判定されても、本当は感染している可能性がけっこうあるということ。

 

決して万能の検査ではなく、PCR検査で陰性という結果が出たから、ライブに行こう、屋形船に乗ろうというのは困るわけです。