瞳孔の揺らぎで愛を伝えるベラドンナ!

 

世界は「ゆらぎ」でできている

~宇宙、素粒子、人体の本質~

(光文社新書)



瞳孔の揺らぎで愛を伝えるベラドンナ!

 

(前略)・・・こうした揺らぎで感情を伝え合う脳の仕組みを端的に表しているのが、仁王様の像です。


仁王様の像は、瞳孔が大きいですね。


これによって、仁王様は怒っているということを表現できています。


なぜかというと、人間は怒ると、誰でも瞳孔が大きくなるのです。

 


怒っているときは、相手と闘争状態に発展する可能性が高いので、無理をしてでも、相手をよく観察していないと、場合によっては命を落とします。


だから、瞳孔を大きくして、網膜にたくさん光を入れるのです。


もし、仁王様の瞳孔を小さくしたら、それは、ぼーっとしている証拠なので、ちっとも怖くありません。

 


瞳孔の大きさは、恋愛にも利用されています。


男女ともに、目の前にいる人が、どうでもいい人だと思うと、網膜を休ませるために、瞳孔は小さくなります。


しかし、恋をしていると、相手のことをよく見ることが子孫を残す上で重要なので、網膜を酷使してでも瞳孔を大きくします。

 


実際、ほとんどの男性は、女性のヌードを見ると、瞳孔が自動的に大きくなります。


また、お気に入りのアイドルと握手をすると、ファンの方の瞳孔は、ものすごく大きくなっています。

 


さらに人間の脳はよくできていて、眼の前にいる人の瞳孔の大きさから、無意識のうちに自分への感情を読み取っています。


眼の前にいる異性の瞳孔が大きいと、きっとこの人は自分に気があるんだと心の奥底で感じ取り、だったら自分も相手に好意をもとうとするのです。

 


だから、瞳孔が大きいと異性に好かれやすいので恋愛では有利です。


少女漫画のヒロインの目が大きく描かれるのは、正確に言うと、この効果を狙ったものです。

 


好きな異性をじっと見つめることを、世間では「ラブラブ光線」と言われることがありますが、実はこの効果を影で支えているのが瞳孔の大きさなのです。


だから、いくら相手を見つめ続けても、あなたが本音ではどうでもいいと思っていたら、瞳孔は小さくなっているので、効果は半減です。


 

もっとも、中世のヨーロッパでは、貴婦人の間で、薬を使って強引に瞳孔を開くという荒業が、幅広く行われていました。


朝鮮朝顔という植物の実からとった汁を目に垂らすと、瞳孔が開きます。


そこで、パーティーなど人前に出るときは、これを使用したわけです。


西欧人は虹彩の色が黒ではないため、瞳孔の大きさがわかりやすいので、こうした必要性が生まれたようです。

 


こうした用途で使われたため、朝鮮朝顔は、西洋ではベラドンナと呼ばれています。


これは、イタリア語で美しい貴婦人という意味です。


もっとも、朝鮮朝顔は毒性が高いので、決してマネはしないようにしてくださいね。

 


実は、こうした視覚の仕組みをはるかに超えるビックリするような人体の機能が見つかったのです。・・・(後略)

 

 

 

 

世界は「ゆらぎ」でできている

~宇宙、素粒子、人体の本質~(光文社新書)

第1章より




 

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