第4章「地球外生命がいるかどうかは、リン次第!」より、抜粋
以前から多くの生物学者が疑問に思っていたことがあります。
それは、現在、地球上に生息しているありとあらゆる生命体が、大雑把にいうと同じ仕組で生きているということです。
つまり、極論すると、地球上で生きている生物はたった一種類だけだということになるわけです。
一見、地球上の生命は、実にバラエティ豊かに感じます。
生物学では、生命は大きく次の5つのグループに分類されます。
バクテリア(細菌)、アメーバや藻類などの原生生物、キノコやカビなどの菌類、それに植物と動物の5種類です。
地球上のすべての生物は、このどれかに入るわけです。
原生動物や菌類はあまりなじみがないかもしれませんが、バクテリアと動物や植物が形態も大きさもまったく違うというのは、どなたも納得できることだと思います。
にもかかわらず、細胞が生きる基本的な仕組みは、5種類の生命はすべて、驚くほど共通しているのです。
地球上のすべての生命体は、例外なくセントラルドグマ(中心原理)という仕組みで成り立っています。
これは、生命の遺伝情報はDNAに保存されており、それがRNAに転写され、さらにRNAからタンパク質が翻訳され、糖や脂質など生命活動に必要な他の成分は、このタンパク質から合成されるという生命の基本的な仕組みを指します。
さらに細胞が使用するエネルギーは、ほとんどすべての生命が同じATPという物質を利用します。
人間もATPによって活動していますが、最近だってATPで生きているのです。
生命体の大きさも、活動の中身も、まったく異なるので、どっちもATPなんです。
その謎が、宇宙生物学で明らかになってきました。・・・
第4章「地球外生命がいるかどうかは、リン次第!」より、抜粋
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