第2章「炭素以外で生命を作ることはできるのか」より、抜粋
・・・火星と木星の軌道の間にある小惑星で、ケイ素でできた岩石のような宇宙人が発見された。
しかも、この生命体は人間の言葉を話し、ときには人の心さえ読み取ることができる・・・。
これは、SF界の巨匠、アイザック・アシモフの『もの言う石』という小説です。
この作品でアシモフが宇宙人をケイ素でできているという設定にしたのも、根拠がありました。
科学者の間で、ひょっとしたら、ケイ素の化合物で生命体ができてもおかしくないのではないかと真剣に考えられていた時期があったからです。
ケイ素とは半導体の材料などに用いられている元素で、シリコンともいいます。
地球上にも豊富に存在しますが、大半が二酸化ケイ素として岩石の主成分となっています。
だから、アシモフの小説でも、登場する宇宙人は岩石でできた生命体で、岩をギシギシとこすりあわせて言葉を発するという設定でした。
岩石は無生物でなのに、ケイ素でできた岩石のような生命体が宇宙にはあるかもしれないと考えられていた理由は、元素周期表を見るとわかります。
ケイ素は、周期表では炭素の真下に位置していますが、これは、ケイ素原子が、炭素とよく似た化学的な性質を持っていることを表しているのです。
本当にケイ素でできた生命体はありうるのか、現在の最先端の医学で検証していきましょう・・・
第2章「炭素以外で生命を作ることはできるのか」より、抜粋
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