銀河も恒星も、宇宙の10万分の1の揺らぎから生まれた!

 

世界は「ゆらぎ」でできている

~宇宙、素粒子、人体の本質~

(光文社新書)



銀河も恒星も、宇宙の10万分の1の揺らぎから生まれた!

(前略)・・・このように発見された当初は、マイクロ波は、宇宙のすべての方向から均等に飛んでくるとされていました。

 

ところが、1990年になり、そこにわずかながら揺らぎがあることがわかったのです。

 

COBEという人工衛星が、宇宙のすべての方向に対して厳密に測定し直したところ、周波数に揺らぎがあることを観測したのです。

 

 

揺らぎといっても、本当にわずかな揺らぎです。

 

温度に換算すると、わずか10万分の1程度の不均一さです。

 

しかし、これは、火の玉のような状態だった誕生間もないころの宇宙は、物質がまったく均質に存在していたというわけではなく、ごくごくわずかではありますが、濃いところと薄いところがあったことを示しているのです。

 

 

「そんなわずかな揺らぎなんて、どうでもいいんじゃないの」と思った方も多いと思います。

 

でも、こんなわずかな揺らぎが、宇宙の運命を決定的に変えたのです。

 

 

実は、この揺らぎが、いわば種となって、恒星や銀河や銀河団ができあがったことがわかったのです。

 

つまり、揺らぎがなければ、宇宙は、恒星も銀河も銀河団も、何もない、ただ暗黒だけが広がる、実につまらないものになっていたわけです。


 

このような結論に導いてくれたのは、シミュレーション計算です。

 

宇宙の誕生や進化については、実験で再現するのが困難です。

 

このため、コンピューター上で再現を試みるシミュレーション計算が盛んに行われています。

 

 

COBEによって計測されたわずかな揺らぎをもとにシミュレーション計算が行われました。

 

その結果、この揺らぎがもとになって現在の宇宙の姿になり得ることが証明されたのです。

 

 

密度が高ければ、それだけ重力も大きいので、互いに引き合います。

 

こうして、銀河の集団がある場所と、銀河が存在しない空洞のような場所が生まれたと、きれいに説明できるのです。・・・(後略)

 

 

世界は「ゆらぎ」でできている

~宇宙、素粒子、人体の本質~(光文社新書)

第2章より




 

世界は「ゆらぎ」でできている

~宇宙、素粒子、人体の本質~

(光文社新書)