世界は「ゆらぎ」でできている
~宇宙、素粒子、人体の本質~
(光文社新書)
(前略)・・・このように観測された揺らぎは、ビッグバンが実在していたことを証明する決定的な物証となりました。
実は、このビッグバンという呼び名は、皮肉にも、もともとはライバルの研究者が、この説を揶揄したことがきっかけで誕生した呼び名だったのです。
イギリスの天文学者でSF作家としても活躍したフレッド・ホイルは、BBCのラジオ番組に出演したときに、膨張宇宙論を皮肉たっぷりに「big bang idea」と呼びました。
これは、「膨張宇宙論が正しいとしたら、宇宙は大きな爆発(big bang)から始まることになり、どう考えてもおかしいでしょ!」という指摘と、「爆発しちゃいそうな大ぼらだ!(big bang idea)」という2つの意味をかけて表現したわけです。
さすがSF作家としても実績を残しただけあって、揶揄するにしても、言葉の使い方にはキラリとした才能を感じさせます。
ところが、これを聞いたガモフは、逆にすっかりこの表現を面白がってしまい、それ以降、ビッグバンという呼び名を使うようになりました。
これが世界に普及し、定着することになったわけです。
ホイルのことばのセンスが、すっかり裏目に出てしまったわけです。
ホイルは、恒星の内部で元素が合成されるプロセスを明らかにするなど、宇宙科学の進歩に多大なる貢献をしました。
しかし、はからずしもビッグバンという呼び名を生み出してしまった逸話があまりにもインパクトがあるため、ホイルというと、まず、こちらを先に思い出す研究者の方が現在は多数派でしょう。
変なイメージがついてしまったホイルが、ちょっと気の毒な気もします。
では、ビッグバンの存在を裏付けた宇宙の揺らぎは、どのようにして生じたのでしょうか。・・・(後略)
世界は「ゆらぎ」でできている
~宇宙、素粒子、人体の本質~(光文社新書)
第3章より
・アインシュタインは、相対性理論でノーベル賞をとれなかった! ⇨クリック
・ヒッグス粒子は、ジグソーパズルの最後のピース! ⇨クリック
・銀河も恒星も、宇宙の10万分の1の揺らぎから生まれた! ⇨クリック
・私たちは、ブレーンワールド(膜の世界)に住んでいる! ⇨クリック
・24時間リズムで設計したら、人類は絶滅していた! ⇨クリック
・ビッグバンは天文学者の皮肉のダジャレから始まった! ⇨クリック
世界は「ゆらぎ」でできている
~宇宙、素粒子、人体の本質~
(光文社新書)