みじめな中年にならないために、いまやっておくこととは?


NHKアナウンサー、医師免許取得、国会議員秘書を経て、現在は東京理科大学客員教授とクリニック院長とタレントと活躍を続ける著者が、こっそりお教えします。
 

 人間関係で心得ておくこと・・・

 仕事でうまく認めてもらえる方法・・・

 自分を磨くためには・・・

 医学的にみた脳の正しい使い方・・・


こうした多岐にわたって解説。

 

悩みのなかには、30代、40代と経験を重ねれば解決できることも少なくありません。しかし、それにはあまりにも長い年月がかかり、手遅れになって人生を棒に振ることもあります。

 

そうならないよう、私が様々な職場での経験を通して見つけ出した処方箋を、多くの20代の方にお伝えしたいと思いました。

「はじめに」より)


仕事がうまくいかない、自信がなくなった

――会社を辞める前の必読の書!

 


1章 会社でうまく過ごす術

2章 職場で認めてもらえる術

3章 話し方による印象アップ術

4章 自分を磨くための勉強術

5章 医学的にみた脳の正しい使用術



 


20代リアル処世術 「はじめに」


 

24歳の夏の終わり、私は霞が関の官庁街を、あてもなくさまよっていました。

セミの鳴き声が耳鳴りのように脳の奥まで響き渡り、吐き気のような不快な気分に心が押しつぶされそうでした。

 

「大蔵省(現・財務省)には、君のような人材はいらないんだ。

採用面接には、もう、来ないでくれ!」

 

自分の手で国の予算を編成したいという私の夢がついえた瞬間でした。

 

 

サークル活動、コンパ、旅行・・・。

私はそれまでの2年間、青春の楽しみをすべて返上し、公務員試験の受験勉強に打ち込んできました。

その結果、2年連続、上位の成績で合格しただけに、採用面接で落とされた悔しさは、私の心からすべての生きる活力を一瞬にして奪い去っていきました。

 

 

あれから20年あまりの月日が流れました。

この日に味わった悔しさは、今でも心の中に色濃く残っています。

ただし、今から思えば、20代で経験した大きな挫折は、その後の人生にとってかけがえのない財産となりました。

 

 

それまでの私は、公務員試験で良い成績をとることばかりにとらわれ、周囲の人に心を配ることがおろそかになっていました。

面接官は、そんな私の致命的な欠点を、みごとに見ぬいていたのです。

この社会で活躍するには、他人との関係や自分の心のあり方が重要なのだ・・・。

挫折と引き換えに学んだ教訓が、今では私の人生の原点となっています。

 

 

私は、その後、NHKアナウンサーを経て、医師になりました。

その間、加藤紘一元自民党幹事長の第1秘書を務めた経験もあります。

一見、華やかな経歴に見えるかもしれませんが、それぞれの職場で、何度も何度も挫折を経験しました。

そのたびに、周囲の人とどう付き合っていくのか、自分の心をどうやってコントロールしていくのか、自問自答を繰り返しました。

こうして得られた教訓がキャリアアップに大きな後押しをしてくれたのです。

 

 

私が院長を務めるクリニックでは、通常の診療のほかに、カウンセリングも行なっています。

こうした活動を通し、20代の方が人間関係や自分の心のあり方に悩んでいる現実に、日々、真正面から向きあっています。

 

 

こうした悩みの中には、30代、40代と経験を重ねれば解決できることも少くありません。

しかし、それにはあまりにも長い年月がかかり、手遅れになって人生を棒に振ることもあります。

そうならないよう、私が様々な職場での経験を通して見つけ出した処方箋を、多くの20代の方にお伝えしたいと思いました。

 

 

20代の方にとって、もう一つ大切な視点は、対人関係や心の問題を解決するに当たって、できるだけ科学的なアプローチをとるべきだということです。

現在、心を扱う医学や脳科学の研究が、急速に進歩しています。

こうした最先端の成果も、本書にふんだんに取り入れています。

 

 

さあ、キラキラと輝く人生を手に入れるため、少しだけ勇気を出して、第一歩を踏み出しましょう。

 

東京理科大学客員教授 吉田たかよし

 

 

 




自己愛セルフチェックリスト

  「20代リアル処世術」146ページより


 

自分は、特別扱いされても当然の人間だと思う。

 

他人に対して嫉妬しやすい。

 

結果を残したのに賞賛されないと、我慢出来ない。

 

自分には特別な才能や長所があると思う。

 

仕事でもプライベートでも、脇役になるのは苦手だ。

 

      診断(当てはまる項目の数)

      0項目⇒自己愛の強さは平均以下

      1項目~2項目⇒自己愛が、やや強いタイプ

      3項目⇒⇒自己愛が、かなり強いタイプ



1章 会社でうまく過ごす術

 

社内の親は自分で選べる 14

上司に恵まれていなくても、めげる必要はありません。

 

社内の兄を見つけ出そう! 18

先輩・社内の兄からは、細かいことまで学べます。

 

バレてないと思っているのは自分だけ!?  22

30代の上司は、20代の部下のウソはお見通しです。

 

頭に血がのぼったときは、この裏ワザを 26

人を殴りたくなるほどの怒りもこれで抑えられます。

 

自分以外はみんなライバル! 30

ライバルを設定したほうが、絶対能力が高まります。



2章 職場で認めてもらえる術

 

質問力を高める一番の方法とは 36

ポイントのおさえ方は、うまい先輩から学びましょう。

 

ランチョンテクニックを使いこなす 40

交渉後の打ち上げでは、まったく意味がありません。

 

対人関係に鈍感になること 44

これでむやみに神経をすり減らさずに済みます。

 

効果が大きい合コン営業 48

おのずと人脈も広がり、度胸もついてきます。

 

雑用への取り組み方で将来が決まる 52

実は先輩たちは、あなたの行動をよく見ています。

 

職場で成果をきちんとアピールすること 56

認められないのは、アピール不足が原因かもしれません。

 

余暇の活動を自分のイメージ作りに 60

プライベートもあなたの評価につながります。

 

後ろ向き思考が必要なときもある 64

ミスをしてはいけないときには、積極的にネガティブに。

 

20代の失敗は、まだ許される 68

単なるミスではなく、ヤル気が空回りした場合は!

 

医学の力でウソを見破る方法 72

騙されて再起不能になる│案外、他人事ではありません。



社内の親は自分で選べる 

  「20代リアル処世術」14ページより


 

会社に就職したら、20代のうちにやっていただきたいのが、「社内の親」を作ることです。

私たちは、生まれてから成人になるまで、親が庇護し教育してくれたからこそ成長できました。

同じように、会社員として成長するには、社内にも親の役割をしてくれる人が必要です。

 

 

もちろん、会社の体制の上では、上司がこの役割を担うことになっています。

しかし、これはあくまでも会社側が会社側の事情に基づいてあてがってくれたものであって、必ずしもあなたにとってベストの人選だとは限りません。

 

実際、私の場合も上司は、育ててもらいたいと思える人ではありませんでした。

そこで上司とは別に、自分で社内の親代わりになってくれる方を見つけ、徹底的に尽くしたところ、可愛がって育ててくださるようになったのです。

 

 

NHKでも民放でも、アナウンサーの場合は、上司もアナウンサーです。

管理職のアナウンサーは、新人アナウンサーに業務の仕方を指導することになっています。

しかし、管理職といっても、やはり本人もアナウンサーです。どうしても、心の中に新人と言ってもライバルだという思いがあり、心の底から育て上げたいと思っているかといえば、かなり疑問符がつきます。

 

 

それは、指導してくれる内容からも明らかでした。

 

「これは商品名だから、NHKでは使ってはいけない・・・」

「これは差別用語だから、特に注意するように・・・」

 

このように、管理職として上司の責任も問われる放送禁止用語については、繰り返し指導をしてくれました。

しかし、みんなから愛されるアナウンサーになるにはどうしたらいいのかといった、もっと根本的なことについては、何一つ教えてくれません。

このままでは、ただミスをしないだけのつまらないアナウンサーにしかなれないと徐々に感じるようになったのです。

 

 

そこで私は、上司とは別に、チーフプロデューサーSさんに社内での親代わりになってもらおうと密かに心に決めました。

プロデューサーは「制作」に所属しているので、「アナウンス」に所属している私とは、社内の組織の上では、まったく部署が異なります。

しかし、チーフプロデューサーは番組の最高責任者、アナウンサーは番組の出演者なので、仕事の現場では一緒になることが多いのです。

 

 

私は、Sプロデューサーに育ててもらいたい一心で、あの手この手で接近を試みました。

時間があればSプロデューサーのデスクに行って肩をもみ、「吉田ちゃん、飲みに行かないかい?」と誘われたら、合コンをドタキャンしてでもついていきました。

 

 

こうした努力のかいがあって、Sプロデューサーは放送の世界で私がどう育っていけばいいのか、真剣に考えてくださるようになりました。

その結果、「科学技術など難しいことを思いっきり簡単に伝える」、「記憶に残りやすい迫力のある音声表現をする」、「物事を人とは違う切り口で描く」など、私が取るべき方向性を見出してくださったのです。

同時に、こうした私の特徴を前提とした番組を企画してくださるようになり、これが高視聴率をとったため、いつしか「Sプロデューサー&吉田アナ」は、NHKの内部で注目を集めるようになったのです。

 

 

きっとあなたの会社にも、「社内の親」としてあなたを飛躍させてくれる先輩社員がいるはずです。

まずは、会社組織の構成にとらわれず、多くの方と触れ合って、「社内の親」になってほしいと思える人を見つけることです。

その時の条件は、「心の底からこの人についていきたいと思える人」、「自分の才能を認めてくれる人」、「自分が飛躍することを嬉しいと思ってくれる人」です。私の場合は、Sプロデューサーがこの条件をすべて満たしていました。

 

 

しかし、「社内の親」には、もう一つ大切な条件があります。それは、社内で出世していく人でなければならないということです。

実は、残念ながら、Sプロデューサーはこの条件だけは満たしていませんでした。

 

 

NHKに入局して5年目のある日、突然、Sプロデューサーに人事異動の辞令が出ました。

関連会社に出向し、番組の制作の現場からは離れるというものでした。

事実上の左遷です。

噂では、「吉田アナを使って、好き勝手な番組を作っている」というのが理由の一つだということでした。

こうして親を失った私は、かつてのような華やかな番組からは遠ざかり、結局、その半年後に退社の道を選びました。

 

 

子供の運命は、親によって大きく変わります。

本当の親子関係の場合は、子供は親を選べないので、親の格差は実に不公平で不条理でもあります。

しかし、「社内の親」は自分で選べます。

私のような失敗をしないよう、親選びは慎重に行ってください。

 


 

これまで「ホーム」に掲載していた情報は、「これまでの動き」に移動させました!